三田紀房の時は金なりカレンダー「成功の秘訣は「時は金なりの精神」だ」

今回のカレンダーは、私の作品内の名言をあれこれピックアップしてもらっています。

こうしてまとめて見ると、ひとつ気づくことがありますね。どのキャラクターも、一見ドギツイことを言っているようで、じつはさほど特別なことを言っているわけじゃない。

それどころか、むしろかなり常識的な言葉ばかりじゃないですか。

では、なぜ私たちは、そうした彼らの「当たり前の言葉」に、ハッとさせられたりするのか。

それは、当たり前のことをズバリと言う人や機会なんて、現実においてはほとんどないからでしょうね。

ということは、ですよ。

まっとうなことを躊躇なくビシバシと口にする、それだけで「名言を操る人」になれるわけです。


ただし言葉というのは、それを誰が言うかによって、説得力が大きく変わる。そこは注意が必要です。

『ドラゴン桜』の桜木建二は、教師ではなくて弁護士です。この設定が、彼の言葉の説得力を強くしているのは明らかですね。

弁護士という肩書きは、彼が日本最高峰の難度を誇る試験を突破した人物であり、日頃から丁々発止の言葉のやりとりを飯のタネにしていることを保証します。だからこそ、一介の教師よりも彼の発言のほうに、「さすが」という貫禄が出るのです。

漫画の中で「言葉を立たせる」ためには、その発言をするキャラクターが強烈かつ分かりやすい必要もあるということです。カレンダーの名言それぞれを見ても、「これはいかにもこのキャラクターが言いそうだ」というものばかりが選ばれているはずです。


世に「時は金なり」ということわざがありますが、これはまさに真実を突いていると思います。

時間をうまく使ったものが、多くの利益を手にできるというのは、疑いようのない事実です。

ここでいう利益とは、もちろん端的にお金を指すこともあるでしょうし、友情や愛情、自分の能力といった大切なものとも考えられます。

『ドラゴン桜2』に則して言えば、東大受験を目指す早瀬さんや天野くんは、「時」を使って学力の向上、すなわち自分の成長を得ようとしているわけです。

 

自分の体験からも例を挙げましょうか。漫画家になる前、故郷の岩手県で衣料品店をやっていた頃の話です。

衣料を扱ううえで大事な仕事の一つに、仕入れがあります。上京して1日で3、4軒の卸店を回るんです。グズグズ迷っていたら先に進めないので、これは売れそうだなと思ったら、

「じゃあMサイズ3枚、Lサイズ5枚ね!」

と、即断即決でどんどん仕入れていく。

これにはマニュアルや方程式があるわけじゃなく、経験を積むと自然と判断スピードは上がります。

予算の枠も同じこと。一回の仕入れで150万円ほどを用意するので、一軒目で50万円くらいは買おうなどと目算を立てておきます。最初の頃は、あとで計算すると予算オーバーやショートをしていたものですが、そのうちほぼ目算通りに仕入れられるようになっていきました。

店の回り方も然り。最初が青山、次が五反田……などと、仕入れ先は都内に点在します。どう回れば最も効率がいいか、店の優先順位や路線図を見比べながら、スケジュールを立てておきます。

あの仕入れの経験はいま考えると、決められた時間内に決められたことをきっちり収めるための、格好のトレーニングでした。ここで培った力は、いまも漫画づくりで大いに生きていると思いますね。

考えてみれば、漫画もひとつのお店のようなもの。きっちり商品を仕入れて、見せ方や値段を考えながら商品を並べて、お客さんに興味を持ってもらえる売場をつくっていく。

ある種ロジカルに仕事の段取りをつけながら、お客さんの欲しがっているものとこちらの売りたいものを、しっかりマッチさせていく。いつもそれができていれば、お店にお客さんはつくものだし、漫画の読者は増えるはずなんですよ。


時は金なりの精神は、ものごとを成功に導くうえで最良の教訓です。ぜひ時間を有効に使って、毎日できるだけ多くの金銭、友情、愛情、能力、成長などを稼げるようになりましょう。

みずから能動的に動く、それが自分の大切なものを得ることに直結しますよ。

じゃあまず何をすればいいか……。そう迷ってしまう人は、とりあえずこのカレンダーを手元に置いて、毎週めくるところから始めるのはどうですか。みんなでこれをめくって、大いに稼ぎましょう!